...初夏の風のないむせむせする日の夕方のことであった...
田中貢太郎 「放生津物語」
...初夏の風をまともにガソリンカーで・しげる葉の...
種田山頭火 「其中日記」
...追加一句・勝つてまぶしく空へ呼吸してゐる・誰も来てはくれないほほけたんぽぽ・爆音はとほくかすんで飛行機・ふるさとの学校のからたちの花・ここに舫うておしめを干して初夏の風・晴れて帆柱の小さな鯉のぼり・暮れてなほ何かたたく音が...
種田山頭火 「其中日記」
...さつさうとしてあるけむくむく盛りあがる若葉匂ふなり初夏の風のひかりて渦潮の自嘲六十にして落ちつけないこゝろ海をわたる五月廿九日晴...
種田山頭火 「松山日記」
...爽(さわ)やかな初夏の風が柳の新緑を吹いている加茂川ぞいの二階座敷に...
近松秋江 「黒髪」
...藤棚の下には中央の噴水をめぐりビーチパラソルの間をくぐってさわやかな初夏の風が吹いている...
寺田寅彦 「柿の種」
...会場を出るとさわやかな初夏の風が上野(うえの)の森の若葉を渡って...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...私は活動写真や国技館や寄席(よせ)なぞのビラが崖地(がけち)の上から吹いて来る夏の風に飜(ひるがえ)っている氷屋の店先(みせさき)...
永井荷風 「日和下駄」
...明け放された窓からは初夏の風がサカンに頬や帽子の鍔に吹きつけてゐた...
中原中也 「我が生活」
...先(ま)ず初夏の風物から書き起して...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...よしたまえ」初夏の風の吹き通る十二畳の日本間...
野村胡堂 「胡堂百話」
...あるときは初夏の風にふかれながら...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...ただ夏の風というくらいの意に用いるものなれば「薫風」とつづけて一種の風の名となすにしかず...
正岡子規 「俳人蕪村」
...夏の風はこまること...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...初夏の風はいつも若葉の匂いをまぜて吹いていた...
室生犀星 「幼年時代」
...季節さえ初夏の風に変っている...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そこの生々たる夏の風に...
吉川英治 「新・水滸伝」
...読者が夏の風邪ギミみたいな錯覚に襲われない要心に...
吉川英治 「随筆 新平家」
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