...K先生と私丈けがYに」先生は意地悪く私の顔を見ながらそのまゝ黙つて向ふの方へ行かれました...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...」おさよはそう言って不服そうに黙った...
犬田卯 「米」
...「お移りになりますか?」五郎はその問いを黙殺した...
梅崎春生 「幻化」
...市民の群れは踵(きびす)を接して眼下遥かなる正門の前に集いて徊(ていかい)顧望立ち去りも得で敬虔なる黙祷を捧げておりました...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...笑うのは厭だというような顔をして黙り込んでまじまじ他(ひと)の顔を瞻(みまも)っていた...
近松秋江 「うつり香」
...神子はしばし黙祷して...
豊島与志雄 「非情の愛」
...狂言作者古河黙阿弥(ふるかわもくあみ)のかつてその戯曲『鵜飼の篝火(かがりび)』をつくるや狼の羣(むれ)をして山中の辻堂に潜(ひそ)める淫婦の肉を喰つて死に致さしむ...
永井荷風 「桑中喜語」
...それが第一義の翻訳で第一義の解釈だ」「肝胆相照(かんたんあいて)らすと云うのは御互に第一義が活動するからだろう」「まずそんなものに違(ちがい)ない」「君に肝胆相照らす場合があるかい」甲野さんは黙然(もくねん)として...
夏目漱石 「虞美人草」
...「すると?」「親父の首へ細引を掛けた奴を私は堪忍しちゃおきません」「それはどういう意味だね」「…………」甲子太郎は黙りこくってしまいました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...このまま黙っていさえすれば...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その人は黙ってそれを受け取って微かにうなづきました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...「…………」七十と七十六になった老婆は、暫く黙って、秋日に照る松叢を見ていた...
宮本百合子 「秋の反射」
...もう春になるのね」厨子王は黙ってうなずいた...
森鴎外 「山椒大夫」
...――それでもいけないでしょうか」徹之助はやや暫く黙っていたが...
山本周五郎 「風流太平記」
...わかりましたか」おみやは黙って頷いた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...」あまり不意のことで矢代は黙って会釈をした...
横光利一 「旅愁」
...わずか二人の人間のせいだと江戸の市民は暗黙に知っていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...黙って、地下百尺にうずもれたまま、事成る日まで圭角(けいかく)を見せぬものは、名利(みょうり)の中に仰がれる才物より、どれほど、たのもしいか分らない」「そんなのではございません」又四郎は、無愛想にいう...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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