...心がらとて俳三昧に落魄(おちぶ)れて...
泉鏡花 「遺稿」
...その凄じい気魄にたじたじとなったが...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...これでは落魄(らくはく)と云ってもよいような細々(ほそぼそ)とした暮しをしていたとしか思われなかったが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...自分は殆ど魂魄(たましひ)を失ふばかりに熟睡して了つた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...すなわち御先祖清正公は、ここからほんの地続きの尾張の中村で生れ、そうしてあの尾張名古屋の御本丸も、清正公一手で築き成したもの、清正公の魂魄は、肥後の熊本よりは、この尾張の名古屋に残っているということを、よくよく申し聞かせても、どうしてもこの子にはその気になれないようでございます」「それもそうかも知れませぬ、世間の人も加藤清正公と申せば、肥後の熊本だと思います、清正公の魂は、かえってあちらに止まっておられるかも知れません、それが伊津丸殿の心を惹(ひ)かされる所以(ゆえん)かも知れませぬ」と梶川が言った時に、病人はちょっと向き直って、「わたしはやはり肥後の熊本が、なんとも言えず慕わしい、梶川殿、どちらかなれば、わたしは白骨よりは熊本へ行きたい、なんと熊本まで私をお送り下さるまいか」「お送り申すは容易(やす)いことなれど……」その時奥方は、キッと襟(えり)を正し、「伊津丸、お前はそれほど熊本へ行きたいならばおいでなさい、私はいつまでもこの尾張の国に残っております、御先祖の心をこめた、あの金の鯱(しゃちほこ)のある尾張名古屋の城の見えないところへは行きたくありません、死ぬならば尾張の国の土になりたい、熊本はわたしの故郷ではありません」六十七信濃の国は安曇(あずみ)の郡(こおり)の山また山――雪に蔽(おお)われた番所ヶ原を、たったひとりで踏み越えて白骨谷に行くと広言した弁信法師、ふと或る地点で足を踏みとどめてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪が言いました、「ほんとうに耳ざわりですね、先生、いくら呼んだって、叫んだって、死んで行く人を呼び戻すことなんか、できやしませんね」「そうさなあ」「でも魂魄この世にとどまりて……ということもありますから、ほんとうに人間の魂は、死んでも四十九日の間、屋の棟に留まっているものでしょうか」「いないとも言えないね」「そんなら、あのイヤなおばさんなんて、まだ魂魄が、白骨谷か、無名沼(ななしぬま)あたりにとまっているでしょう、怖いことね」「左様、あのおばさんの魂魄は、もう白骨谷には留まっていまいよ」「どうしてそれがわかります」「飛騨の高山が家だというから、いまごろは、高山の方の屋の棟にかじりついているかも知れない、それとも途中、この温泉場が賑(にぎ)やかだから、今晩あたり、この宿の棟のあたりに宿っているかも知れない」「イヤですね、先生、そんなことをおっしゃってはイヤですよ」「でも、お雪ちゃん、お前はだいぶあのイヤなおばさんに、なついていたようだ」「それは、あのおばさん、イヤなおばさんにはイヤなおばさんでしたけれど、それでも憎めないところがあって、イヤだイヤだと思いながら、どこか好きになれそうなおばさんでした、本来は悪い人じゃないのでしょう」「は、は、は、あぶないこと、お前も二代目浅公にされるところだったね、あんなのに好かれると、骨までしゃぶられるものだ」「全く、浅吉さんていう人は、なんてかわいそうな人なんでしょう、おばさんの方は自業自得(じごうじとく)かも知れないが、浅吉さんこそ浮びきれますまいねえ」「だらしのない奴等だ」と言いながら、竜之助は不意に起き上ったのは、厠(かわや)へ行きたくなったのでしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...その功積って、重清入道も、朝霧の魂魄も、共に成仏し、末代その証(あかし)として、重清入道は死ぬ時には己(おの)れの頭を残すように言って置いたが、後世、その頭をここに祭って、あがめて鬼頭天王と申し奉る、これが、すなわち鬼頭様の由来だと、堂守の尼が細かに説明してくれたのを、手にとるように覚えている...
中里介山 「大菩薩峠」
...又その背後には作者の気魄嗟嘆の人に迫るものがある...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...思ひ詰めた氣魄の凄まじさは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...人事みな落魄して...
堀辰雄 「萩原朔太郎」
...条件の最高に完成させようとする気魄に満ちていて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...おちぶれないだけの気魄をそういう物語の中からも知らしておいてやることは大切だわね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...おれの落魄(らくはく)したざまが可笑(おか)しいんだろう...
山本周五郎 「風流太平記」
...春浪君もまた一見貴公子然とした体躯の中に烈々たる気魄を蔵してゐて...
吉井勇 「青春回顧」
...流寓落魄(りゅうぐうらくはく)貧しきには馴れています...
吉川英治 「三国志」
...ふと古調ゆかしい一篇の詩(うた)が月魄(つきしろ)のどこからともなく聞えていた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...魂魄燈(こんぱくとう)に従(つ)いて...
吉川英治 「新・水滸伝」
...怖らく彼の若年時代の筆ではないかという気魄を感じる物だった...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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