...朝霧下りた梓川の谷を――しかしその霧はいつまでたつても晴れる気色は見えません...
芥川龍之介 「河童」
...大利根の原流地、二千メートルを越える山々の麓にかたまった藤原の部落、鬱蒼たる処女林の中で、霧の深い朝夕、山刀をたっつけの腰に結びつけた男が、グイグイと木を刳ってこれを作ったのだ...
石川欣一 「山を思う」
...このウィルソン霧箱の方法というのは...
石原純 「雨粒」
...夕霧がしつらえてくれた砧の座へ着こうとする...
上村松園 「謡曲と画題」
...初めは何となく頭が霧をかけたようにぼんやりし...
梅崎春生 「日の果て」
...あいにくの霧は南の空を掩うて...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...まるで深い霧のなかをゆらりゆらり泳いでいるような気持ち...
太宰治 「葉」
...それは霧の深い夜であった...
田中貢太郎 「死体を喫う学生」
...霧深き北スコットランドの海に灯台を築き続けた其の貴い姿を思う時...
中島敦 「光と風と夢」
...それはイオンよりも塵の方が霧粒の芯になる作用が強いからである...
中谷宇吉郎 「「茶碗の湯」のことなど」
...考察の進路を遮ぎる霧の中で苦しんだ...
夏目漱石 「道草」
...燈台で鳴らす号砲のような霧信号...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...霧と闇(やみ)とが山を取り巻いていて...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...「伊沢さん……これはどうも」「やられました」笠原は両手で頭を抱えて、「いやア、とんだ闇試合で……宮島だんまりの袈裟太郎があなただったとはおどろきました……なにしろ、この霧だから、あぶなくってしょうがない...
久生十蘭 「雪間」
...月日をばよそに雲涌く霧島の山にありとも告げずあらまし昨日といはず今日と云はず朝と云はず昼と云はず西からも東からも雲が涌いて変幻限りない様相を呈する霧島に来て居るとでも書いたら子供達は心配するだらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...あの致命的な霧が消えます...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「四日闇夜」
...まだ朝霧のふかい裏河岸に...
吉川英治 「大岡越前」
...秋ならややつめたい朝霧がはだにふれる...
吉野秀雄 「長谷川等伯の「松林図屏風」」
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