...……霞の滝、かくれ沼、浮城(うきしろ)、もの語(がたり)を聞くのと違って、現在、誰の目にも視(なが)めらるる...
泉鏡花 「瓜の涙」
...曲浦長汀、烟霞縹渺として、いつ見ても厭かぬは霞ヶ浦の風光なるかな...
大町桂月 「鹿島詣」
...何んだか分らぬ目的物を遠い霞の奥に望んで...
寺田寅彦 「イタリア人」
...「野を歩み、霞める空を仰ぎ、草の香を聞き、緩かなる流水の歌を聴き、撫づるが如き風に向ふが中に、忽ち堪へ難きなつかしき感の起り来るあり...
中谷宇吉郎 「詩人への註文」
...暮春の空に匂(にお)う霞(かすみ)のように...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...朱鷺色縮緬の古代霞のぼかし...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...褐色の霞が観客席と舞台の間に侵入していることだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「四日闇夜」
...――朝晩の大川の霞が冷たさを増して来た頃...
牧野信一 「やぶ入の前夜」
...入日も海も霞みながらに見ゆるこそ趣は候なれ...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...霞亭は備後に往つた文化十年癸酉から算して...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...これに反して霞亭に至つては...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...霞亭、凹巷並に田伯養(でんはくやう)、孫孟綽(そんまうしやく)の四人が若狭より丹後に入り、天橋立を看、大江山を踰(こ)えて帰つた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...林も薄紫に霞(かす)んでみえる...
山本周五郎 「雪の上の霜」
...私達は高粱が三四寸伸びただけの緑野の涯も無く霞んでゐるのを車窓に眺めながら...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...楡(にれ)の木に水色をして引く霞寛城子(くわんじやうし)をば哀れにぞする初夏の楡(にれ)の間(あひだ)の寛城子風をば愛でて車より行く公主嶺の農事試験所を訪ふ...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...立ち迷う夕霞の世界へ青銀色の光の雨を投げ交ぜて...
吉川英治 「剣難女難」
...貴賤雲霞(ウンカ)ノ如シ――と...
吉川英治 「新書太閤記」
...霞が浦即興わが宿の灯影さしたる沼尻の葭の繁みに風さわぐ見ゆ沼とざす眞闇ゆ蟲のまひ寄りて集ふ宿屋の灯に遠く居るをみなたち群れて物洗ふ水際に鹿島の宮の鳥居古りたり鹿島香取宮の鳥居は湖越しの水にひたりて相向ひたり苫蔭にひそみつゝ見る雨の日の浪逆(なさか)の浦はかき煙らへり雨けぶる浦をはるけみひとつゆくこれの小舟に寄る浪聞ゆ...
若山牧水 「水郷めぐり」
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