...絶えず彼の懐ろの中に鋼鉄色の表紙をした「ツアラトストラ」を感じていた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...絶えず彼の懐ろの中に鋼鉄色の表紙をした「ツアラトストラ」を感じてゐた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...雲一つない鋼鉄色(はがねいろ)の空には...
石川啄木 「病院の窓」
...坂の上に鋼鉄色(はがねいろ)の空を劃(かぎ)つた教会の屋根から...
石川啄木 「病院の窓」
...麦藁帽子にも鉄色の絽の羽織の肩のあたりにも雨の水が光つてゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...彼は鉄色の炎熱に霞んだ家畜を視た...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...恥ずかしき紅(くれない)と恨めしき鉄色をより合せては...
夏目漱石 「薤露行」
...周囲(まわり)は鉄色に近い藍(あい)で...
夏目漱石 「草枕」
...鉄色の筋が二本栄(は)えない草の中を真直(まっすぐ)に貫(つら)ぬいている...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...鉄色の大きな手が...
林芙美子 「新版 放浪記」
...鉄色の大きな手が...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...鉄色のズボンに包まれている脚をベッドの上に投げ出して...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...丸い船窓のなかで鋼鉄色の波がヌッと高まってはまたすぐ落ちこむように下っていく...
久生十蘭 「ノア」
...こゝに赤きプラカードのごとくわれらと共に擁する友を亨けしめよ牢獄! 崩れた喜びと愛と思い出の蘇る日友と生活の悦びを金盞花えの雑りけなき接吻と共に鉄色の電気の溶流の瞬間の衝撃のごとく野の空気の翼の自由なはためきの中に放射状の紫の果樹の列を...
槇村浩 「青春」
...鉄色無地の羽二重(はぶたえ)の着流し姿に...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...神事能や翁の門下の月並能の番組が決定すると、祖父の灌園は総髪に臘虎(らっこ)帽、黄八丈に藤色の拝領羽織、鉄色献上の帯、インデン銀煙管(ぎせる)の煙草入、白足袋に表付下駄、銀柄の舶来洋傘(筆者の父茂丸が香港から買って来たもので当時として稀有のハイカラの贅沢品)という扮装(いでたち)で、喰う米も無い(当時一升十銭時代)貧窮のただ中に大枚二円五十銭の小遣(催能の都度に祖父が費消する定額)を渫(さら)って弟子の駈り出しに出かけたので、祖母や母はかなり泣かされたものだという...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...血も涙もない鋼鉄色の瞳をギラギラさせる...
夢野久作 「怪夢」
...どんなに跡を探していたか知れやしねえ」何か一物(もつ)ありそうなお十夜――あのそぼろ助広の鉄色(かねいろ)のようにトロリとした眼でお綱を視(み)る……...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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