...おぼつかない星明かりに透かして見れば、太刀(たち)をはくもの、矢を負うもの、斧(おの)を執るもの、戟(ほこ)を持つもの、皆それぞれ、得物(えもの)に身を固めて、脛布(はばき)藁沓(わろうず)の装いもかいがいしく、門の前に渡した石橋へ、むらむらと集まって、列を作る――と、まっさきには、太郎がいた...
芥川龍之介 「偸盗」
...お母さんが叱れば私が科(とが)を背負うから遊びにきてとまで無茶を云うた僕が...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...皮膚が荒れてくる旅をつゞけてゐるすこしばかり買物もして旅の夫婦は石刻む音のしたしくて石刻む朝寒に旅焼けの顔をならべて・片輪同志で仲よい夫婦の旅・ざくりざくり稲刈るのみの・秋晴れの砂をふむよりくづれて鶏(トリ)を叱る声もうそ寒う着いたいそがしう飯たべて子を負うてまた野良へ・木葉落ちる声のひととき・貧乏の子沢山の朝から泣いてゐる・それでよろしい落葉を掃く十月十五日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...母体に負うところがいかに多いかを...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そもそも名にし負う...
中里介山 「大菩薩峠」
...肩に負う髪の時ならぬ波を描いて...
夏目漱石 「薤露行」
...名に負う西郷山の山つづきなので...
額田六福 「解説 趣味を通じての先生」
...自然太郎の責任は私が負うこととなり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...これを「連帯して責任を負う」といいます...
文部省 「あたらしい憲法のはなし」
...作家がもし来るべき工藝を負う作家であるなら...
柳宗悦 「工藝の道」
...弁慶(べんけい)が七つ道具を背負う様に似ているところからその名を得たのでありましょう...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...無地の美学が背負う使命は大きい...
柳宗悦 「民藝四十年」
...勘右衛門に負うところ多しともいう...
山本周五郎 「桑の木物語」
...文壇の悲しみであって文学の負うべきものではない...
横光利一 「スフィンクス(覚書)」
...柄になくその責めを負うつもりも出て来ている...
横光利一 「旅愁」
...新九郎もかがやく武門の栄光を負うことになるのだと聞いているので...
吉川英治 「剣難女難」
...ただ望みをとげようためには、何事も忍び、また遠くも思わねば」「したが、ぐずぐずしていれば、道誉は気負う、後ろから鎌倉の討手がかかる...
吉川英治 「私本太平記」
...その繁栄は主としてアラビアの商人と船とに負うている...
和辻哲郎 「鎖国」
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