...――小林駅で汽車を待合してゐると、洋服の中年男が近づいてきた、そしていやににこ/\して、いつしよに遊ばうといふ、私が菩提銭を持つてゐると思つたのか、或は遊び仲間によ□□思つたのか、とにかく、奇怪な申出である、あまりしつこいので断るに困つた、――何と旅はおもしろい事がある!九月廿二日晴、曇、都城市、江夏屋(四〇・中)七時出立、谷頭まで三里、道すがらの風光をたのしみながら歩く、二時間行乞、例の石豆腐を食べる、庄内町まで一里、また三時間行乞、すつかりくたぶれたけれど、都城留置の手紙が早くみたいので、むりにそこまで二里、暮れて宿についた、そしてすぐまた郵便局へ、――友人はありがたいとしみ/″\思つた...
種田山頭火 「行乞記」
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