...諦めるとことばには言うても...
伊藤左千夫 「春の潮」
...いまこうしてクラッペンボルグのマリア・フェタロヴナの家のまえに立っていると、「運命の老女」が朝夕あそこの窓から見るであろう浪と村と人々の生活――その小さな世の中には何の移りかわりはなくても、何かしらそこに、マリア・フェタロヴナを一生のかなしみから脱却させ、諦めさせ、慰めるものがなければならないような気がする...
谷譲次 「踊る地平線」
...しかし先生はもうそれらをば余儀ない事であると諦めた...
永井荷風 「妾宅」
...諦めたのだろう――と...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...諦め切れない悲しみがあります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何にかかう虚無的になつた棄鉢な諦めを感じさせる男です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お前が花見を諦めるほどの筋ぢやあるめえ」「それがいけねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...諦めて居たのでございます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...平次は諦めて縁側を立去りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「あつしの叔母が若い時奉公して居たお店(たな)の主人が、足立屋に金の世話になつて居る相で、並大抵でない義理があるから、錢形の親分を頼んでくれと、折入つて叔母に頼んだ相ですが、叔母はまた、あつしの言ふことなら、錢形の親分は、何んでも聽いてくれると思ひ込んで居るが、どつこいそんなわけには行かねえ、錢形の親分と來たら、無精で金持が嫌ひで、――」「おい、お前は金持と俺の棚(たな)おろしに來たのか」「そんな事で乘出す親分では無いから、諦めろ、その代り、このあつしが行つてやらうと、――實は昨日白金まで待つて來ましたがね」「何んだ、お前はもう行つて來たのか」「すると、お茶を持つて出たのが、十八九の、小柄だが、びつくりするほど良い娘でせう、主人の徳右衞門は蝦蟇なら、内儀のお種(たね)はかまきりで、あんな夫婦の中に、透き通るやうな綺麗な娘が生れる筈は無いと、歸りに角の煙草屋で訊くと、矢張り養ひ娘なんだ相で、尤も養ひ娘ではあるが親孝行で氣立がよくて大した評判ですよ」「で、どうした」「あれだけの身上を拵へた徳右衞門だから、三人や五人は怨(うら)み手がありますよ」「例へば、どんな事があつたんだ」「よくある術(て)で、醉つて歸つたところを、井戸へ突き落されたり、味噌汁の中に石見銀山(いはみぎんざん)が入つて居たり、障子の外から眞矢(ほんや)で射られて首筋に少しばかりだが怪我をしたり、隨分執こくやる相で」「人に怨まれる覺えがあるなら、大概相手の見當は付くわけぢやないか」「それが、どうも見當が付かないんだ相ですよ、若い時分は、隨分惡いこともし、無理に金も拵へたらしいが、十年前に江戸へ來てからは、田舍で溜めた大金を資本に、金貸し商賣を始め、身上もよくなつたが、人に怨まれるやうな取立てはしない、――本人ばかりで無く、近所で訊いても、皆んなさう言ひますよ、あんな呑氣なことで、足立屋は金が溜るから不思議だつてね」「奉公人は多勢居ることだらうな」「内儀のお種に、綺麗な娘のお雪、女中のお安、それに三年前から昔の友達だつたといふ、林三郎といふ三十七八の男が訪ねて來て、女房のお萬といふのと一緒に、番頭代りをやつて居ります、これも堅い男で、大概(たいがい)のことは主人の徳右衞門の代りに、さばいて居るやうです」「それ丈けのことなら、唯のからかひかも知れないよ、惡戯は手が混んでゐるが、遊び事のやうで、何處か間が拔けてゐるぢやないか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お前の不運だ」「有難い仕合せで」額(ひたひ)を平手で叩(たゝ)いて舌をペロリと出し乍らも八五郎は諦めてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ともあれ諦める事にきめましたが...
林芙美子 「シベリヤの三等列車」
...忘れて仕舞へ諦めて仕舞へと思案は極めながら...
樋口一葉 「にごりえ」
...諦め玉え々々と三度回向(えこう)して...
二葉亭四迷 「平凡」
...村の人のほうでも諦められぬ過去...
柳田国男 「雪国の春」
...人類の大部分に諦められているようであります...
夢野久作 「鼻の表現」
...しかし、もう何をいっても、後のまつりだと、諦めたように、茶わんを静かに戻して、「ときに、きょうお伺いしたのは、赤坂のおやしきの方(ほう)のことじゃが」「や...
吉川英治 「大岡越前」
...私は諦めてその火鉢の側に腰をおろしたが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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