...見るともなく其を見てゐると...
石川啄木 「天鵞絨」
...暫くして涙を拭いて火鉢の赤火を見るともなく見てゐますとその灰の中に先生の涙がポトリポトリ続けさまに落ちてゐます...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...今しも兩國へ兩國へとくりだす花火船を見るともなく眺めてゐた...
竹久夢二 「砂がき」
...彼は見るともなく前方を見ていた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...喰べながらヴェランダの下を見るともなく見ていると...
中島敦 「光と風と夢」
...片隅でじっとどこを見るともなく見入っている...
中谷宇吉郎 「英国の物理学界と物理学者」
...花月巻に羽衣肩掛(はねショール)の方が可怖い眼をして何処を見るともなく睨んで居らしッたの...
広津柳浪 「昇降場」
...どれを見るともなく見入つてゐた...
堀辰雄 「おもかげ」
...」俊男(としを)は見るともなく自(おのづ)と庭(には)に蔓(はびこ)ツた叢(くさむら)に眼を移して力なささうに頽然(ぐつたり)と倚子(いす)に凭(もた)れた...
三島霜川 「青い顏」
...見るともなく肖像画に見入っていたが...
室生犀星 「三階の家」
...それを見るともなく見ていた三次...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...見るともなく見るとです...
山本周五郎 「思い違い物語」
...見るともなく丸卓子(テーブル)の向う側を見るとハッとした...
夢野久作 「白菊」
...ふと見るともなく覗いて見ると...
横光利一 「スフィンクス(覚書)」
...見るともなく久慈の視線を感じたらしい真紀子は彼から眼を反らし...
横光利一 「旅愁」
...そして、ぶらぶらと、拝殿へつづく橋廊下へかかりながら、見るともなく、庭を見ている……...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...見るともなく事務室の藥品棚の中にある古錆びた藥品を見詰めながら...
若山牧水 「樹木とその葉」
...ろくに何を見るともなくぼんやりと何やらの荷に腰かけて風に吹かれている耳のはたで伊勢崎君が囁いた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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