...其勇ましい唸き聲が、眞上の空を擘(つん)ざいて、落ちて四匝(あたり)の山を動かし、反つて數知れぬ人の頭を低れさせて、響の濤の澎湃と、東に溢れ西に漲り、甍を壓し、樹々を震わせ…………………………弱り弱つた名殘の音が、見えざる光となつて、今猶、或は、世界の奈邊(どこ)かにさまようて居るかも知れぬ...
石川啄木 「漂泊」
...新温泉の桃色に塗られた高い甍(いらか)が...
海野十三 「蠅男」
...独り此のみならず、その神婚によりて、生れし子、別雷神が、後に至りて、屋の甍を穿ちて、天に昇りしと云う一条も亦た、大物主ノ神が、大虚を践んで、御諸山に登りしと、大に類似す...
高木敏雄 「比較神話学」
...はるかに望めば岳陽の甍(いらか)...
太宰治 「竹青」
...近い町々の甍(いらか)や石垣や加茂川の水は...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...重い丸瓦でどっしりとおさえた本葺(ほんぶ)きの甍(いらか)...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...魚とるためなり彦根城廓内鵯の晴を鳴く樹のさや/\に葛も薄も秋の風吹く天主閣にのぼる名を知らぬ末枯草の穗に茂き甍のうへに秋の虫鳴く夕...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...壬生寺であらうと思ふ甍がだん/\大きく見えて來た...
長塚節 「菜の花」
...斜めに切るは甍(いらか)である...
夏目漱石 「虞美人草」
...甍(いらか)の波を渡る...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
......
原民喜 「かげろふ断章」
......
三好達治 「故郷の花」
...町々の甍(いらか)を見下ろして下さい...
柳宗悦 「民藝四十年」
...蒼然(そうぜん)と明け離れて行く宮城の甍(いらか)を仰ぎました瞬間に...
夢野久作 「暗黒公使」
...古風な破風造りの母屋(おもや)の甍(いらか)と交錯さして...
夢野久作 「復讐」
...宮殿の広場も屋根の甍の圧力も...
横光利一 「北京と巴里(覚書)」
...厚い甍の反りの上に枯松葉を落していた...
横光利一 「旅愁」
...羅生門の甍(いらか)が...
吉川英治 「私本太平記」
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