...無心にして唯中(あた)りを待ちけるに...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...無心にきょろきょろしている...
太宰治 「正義と微笑」
...私は自分の子供たちの無心にオドオドしている姿をみた...
田中英光 「野狐」
...無心に眠る娘の顔や...
谷崎潤一郎 「刺青」
...無心に明日へのびようとするけんめいさが感じられる...
壺井栄 「二十四の瞳」
...ここで画架を立てて二時間余りを無心に過ごした...
寺田寅彦 「写生紀行」
...数株の落葉樹の植込みを無心に眺めているうち...
豊島与志雄 「秦の出発」
...無心に見ておれば...
豊島与志雄 「文学以前」
...無心にごたごたと並んでいます...
豊島与志雄 「三つの悲憤」
...無心に歌が出て来る...
中里介山 「大菩薩峠」
...冷たい月の光が無心に淀みます...
野村胡堂 「礫心中」
...昔の女に金の無心に来てゐたのだが...
林芙美子 「浮雲」
...看護婦が無心に歌つてゐるのだ...
原民喜 「ある時刻」
...の木立はものうげに、無心に、まるで当所(あてど)なきさすらひ人のやうに、高く雲間に聳えたち、まぶしい陽の光りが絵のやうな青葉のかたまりを赫つと炎え立たせると、その下蔭の葉面(はづら)には闇夜のやうな暗影(かげ)が落ちて、ただ強い風のまにまに黄金いろの斑紋がぱらぱらと撒りかかる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...今まで無心に繰し((ママ))て居た祈祷も今は明かに自分の慰めと成り...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...無心に眠っているのにね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そして、宇乃自身まったく無意識ではあったろうが、甲斐の腿を大胆に、あるいは無心に、圧迫したその部分の、あたたかい、弾力のあるまるみは、四十二歳になる甲斐をたじろがせるのに充分であった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...誰もが、十八公麿のその無心なひとみを、無心になって、見合っていた...
吉川英治 「親鸞」
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