...かかる者のみ漾(ただよ)う風情...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...ほんのりと得(え)ならぬ薫(かをり)が漾(たゞよ)ふ...
泉鏡太郎 「艶書」
...切子の美しい香水瓶が憐れに破われて煙臭い塵臭い中に床しいホワイトローズの香気を漾(ただよ)わしていた...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...およそ似つかしからぬ艶めいた香を漾(ただよ)わせるのだった...
海野十三 「鍵から抜け出した女」
...高い天井には古風なシャンデリアが点いていたが窓外にはまだ黄昏(たそがれ)の微光が漾(ただよ)っているせいか...
海野十三 「赤耀館事件の真相」
...『漾虚集』本屋より既に献上仕り候やちょっと伺い候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...その波に漾(ただよ)いながら独身時代の庸三の青壮年期も...
徳田秋声 「仮装人物」
...是も全く十七八の別嬪の祟と思ふ御用心三五七明治三十九年五月二十六日 午後三時―四時 本郷區駒込千駄木町五十七番地より廣島市猿樂町鈴木三重吉へ拜啓漾虚集が出來ました一部あげます...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...僕も漾虚集丈でつきた譯でもないから是から又何ぞかく積りで居る...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...小生抔は始めからあてにして原稿をかきます漾虚集の誤字誤植御親切に御教示を蒙り難有候...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...ジュと音がして艪(ろ)の足で掻き分けられた浪(なみ)の上を揺(ゆ)られながら漾(ただよ)っていった...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...私はどうせ波の上に漾ふ一片の花瓣のやうなものです...
原民喜 「淡雪」
...彼はそこの家に漾ふ空気の異状さに感づいた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...友人と別れた後の鋪道にはまたぼんやりと魔の影が漾(ただよ)っていた...
原民喜 「死のなかの風景」
...白い大きな雲がキラキラと光って漾(ただよ)った...
原民喜 「鎮魂歌」
...何処からともなしに鬼気が漾ってゐた...
原民喜 「虹」
...山の端には赤く濁つた雲が漾つてゐた...
原民喜 「廃墟から」
...どこからともなしに死臭の漾つて来るのが感じられた...
原民喜 「廃墟から」
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