...暫くにして漸くその衒學的な無邪氣さを失つた...
堺利彦訳 幸徳秋水訳 「共産黨宣言」
...一時「新」の字に眩惑せられて前後を忘却してゐたものも漸く覚醒して古典文芸としての俳句の真の面目を了解せうと志してゐるかの観がある...
高浜虚子 「進むべき俳句の道」
...漸く三十七八位にしか見えなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...仙吉は漸くの事で手を放した...
谷崎潤一郎 「少年」
...そのとき漸く離れた部屋にいた武士共が物音に驚いて駈け付けたのである...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...大震災後四五年たって――余りに遅すぎるが――漸く復興されてる最中だった...
豊島与志雄著 「球体派」
...梅雨も漸く明けぢかい曇った日である...
永井荷風 「花火」
...先生は、それで漸く、いくらかの溜飲(りゅういん)を下げて、屋根の上からおりて来ましたけれど、鰡八大尽は言うばかりなき不快を感じて、病気も忘れて荒々しく寝床を立って、雨戸を押し開いて欄干から外の闇を睨みつけましたけれど、その時分には道庵先生は、もう屋根から下りて、自分の寝床へ潜(もぐ)り込んでしまっていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...博勞は氣の長いことをするのうと見て居たがアヽ庖丁を出すのであつたと此時漸く穢げな庖丁を手でこすりながら出して呉れた...
長塚節 「佐渡が島」
...漸く最後に取つて置きの籤(くじ)をひかせて...
萩原朔太郎 「宿命」
...茂兵衛 (漸く立ちあがり)もし...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...美樹が漸く上京して来ました...
原民喜 「書簡」
...」これで漸く合点が行ったが...
二葉亭四迷 「平凡」
...漸く熟れ出した葡萄の畑という畑がこっぴどくやられ...
堀辰雄 「菜穂子」
...」ジヤツキーは漸く取り戻した上着の袖を通しながら「お蔭で技手にならずに済んだ...
牧野信一 「サクラの花びら」
...世話人の振り翳す提燈の火影で漸く...
水野仙子 「響」
...漸く蘇生の思いをした百七十七個村の百姓たちはやれやれと安堵する間もなく茂左衛門の捕えられたを聞いて大に驚き悲しみ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...漸く一四九八年正月に至って...
和辻哲郎 「鎖国」
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