...ついこの間降って融けかけている雪に蔽われた広漠たる野づらを越えて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...名前はどうでも一寸把みどころのない空漠たるものである...
辻潤 「自分だけの世界」
...再びかの荒漠たる中央アジアの砂漠の幻影が...
寺田寅彦 「柿の種」
...恐ろしい苦悩の騒擾(そうじょう)が起こった――「広漠たる人なき空間にただ一人いる悩みの叫び」が……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...茫漠たる眠りの中に...
豊島与志雄 「聖女人像」
...広漠たる平野を蔽いつくす耕作力がひそんでおり...
豊島与志雄 「北京・青島・村落」
...茫漠たる焼野に建物が建つたためには...
中原中也 「アンドレ・ジイド管見」
...更に足一たび亜細亜(アジア)に向えばそこに茫漠たる大陸を占むるの余地あり...
新渡戸稲造 「東西相触れて」
...それにはそれにつづく漠たる期待もありました...
原民喜 「ある手紙」
...一種茫漠たるこの人物は...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...戦場が原は秋霧が渦を巻いて白け渡り索漠たる光景を呈してゐる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...*「恐ろしい山々の荒漠たる風物の中に全く孤立せる小さな館...
堀辰雄 「雉子日記」
...たゞ索漠たる夢心地に居るばかりであつた...
牧野信一 「風媒結婚」
...寒さは余りひどくなかったが、単調な、広漠たる、あらゆるものの音を呑み込んでしまうような沈黙をなしている雪が、そこら一面に空虚と死との感じを広がらせている...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...身はこの廣漠たる歐洲大都の人の海に葬られんかと思ふ念...
森鴎外 「舞姫」
...明るい海端の広漠たる自然の中では...
柳田国男 「雪国の春」
...広漠たる大農的耕地であるから...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...やがて海の巨きな空漠たる中へ掃き落してしまつた‥‥やがて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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