...一握りの椋(むく)の実と赤土とをそつと彼の手へ渡した...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...谷(たに)より谷(たに)へ掛渡(かけわた)しの鉄(てつ)の鎖(くさり)にて繋(つな)ぎ置(お)き申候(まをしさふらふ)...
泉鏡太郎 「怪力」
...見せていただきましょう」警部はけっきょくその死体譲渡書(したいゆずりわたししょ)が...
海野十三 「金属人間」
...夫は橋を渡つて行つた...
田中貢太郎 「あかんぼの首」
...中には階上から川底へ針金(はりがね)の架線(かせん)を渡し...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...何とも知れない悪臭が港内の空気に滲み渡っていて...
寺田寅彦 「夏」
...高い梢を渡る風の音しかしなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...文明の匂が行渡つてる都会にも...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...また踏切の板も渡してはない...
永井荷風 「元八まん」
...それからそれが行き渡った頃には...
中谷宇吉郎 「老齢学」
...――さあ娘を渡して貰おうかい」五左衛門の釘抜(くぎぬ)きのような腕はグイと伸びました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その材木で物干臺から物干臺に渡つて菊屋に行き...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...渡辺が又休みらしく...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...「渡りますか?」「渡る」人夫はちらと相手の腰のあたりを見た...
本庄陸男 「石狩川」
...さて、桐渡ガラドウが、今更そんな風に私の方を向いて、先生――などゝ呼びかけても、もう私は金輪際、返事などをするものか...
牧野信一 「バラルダ物語」
...「夜分にあがりまして」と渡辺金兵衛が云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...このためナポレオンは終(つい)に遠征の反対者将軍デクレスと数時間に渡って激論を戦わさなければならなかった...
横光利一 「ナポレオンと田虫」
...廿銭出したら一銭銅貨を一枚オツリに渡されて...
吉川英治 「くせ」
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