...渠の居間にしてゐる穢(むさくる)しい二階に上つて来た...
石川啄木 「足跡」
...と、渠は、前夜同じ蚊帳に寝た女の寝息や寝返りの気勢(けはい)に酷く弱い頭脳を悩まされて、夜更まで寝付かれなかつた事も忘れて、慌てて枕の下の財布を取出して見た...
石川啄木 「赤痢」
...恁うして渠は、ものの三十遍も同じ事を続けた...
石川啄木 「病院の窓」
...渠は勘定を濟ませて蕎麥屋から出た...
石川啄木 「病院の窓」
...渠は、其題の示す如く、此大叙事詩に、天地初發の曉から日一日と成された絶大なる獨一眞神の事業を謳つて、アダムとイヴの追放に人類最初の悲哀の由來を叙し、其掟られたる永遠の運命を説いて、最後の卷には、神と人との間に、朽つる事なき梯子をかけた、耶蘇基督の出現に、人生最高の理想を歌はむとして居る...
石川啄木 「病院の窓」
...」渠(かれ)らは親方といはざりき...
泉鏡花 「海城発電」
...渠(かれ)らを室外に出(いだ)しやりたり...
泉鏡花 「海城発電」
...渠もさう注意されたこともある...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...渠はお鳥のそばでは氣がゆるんで...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...そして、義雄が多大の不平と輕蔑とを以つて取り扱つてゐる製造主任なる從兄弟の無考へと不都合とを云はなかつたのは、――云ふ折があれば、渠として、必らず正直に云つただらうが、――この原稿依頼者の註文が失敗の方面を話せと云ふのではなかつたからである...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...渠を机にまでつき飛ばした...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...渠は肝心(かんじん)のお鳥をさし置いて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...客は暫らく渠の方を見い見い無言でそれをこらへてゐたが...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...渠はもと耶蘇新教から脱却して來た者だが...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...少くも渠らが世間の道徳に背(そむ)いたには疚(やま)しくも恥かしくもない立派な哲学的根拠があるように思っていた...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...恐(おそろ)しい唸(うなり)を立てて船渠(ドック)の中へ迸出(ほんしゅつ)し始めた...
大阪圭吉 「カンカン虫殺人事件」
...池へ落ちた群衆が溝渠鼠(どぶねずみ)のようになって這(は)い上がって...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...門に入て数歩流渠あり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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