...七淡い夜霧が田畑の上に動くともなく流れて...
石川啄木 「鳥影」
...一日急に冬らしい冷い雨が降つた時あてられて大腸を惡くして淡い赤い色のまじつた粘硬さへ出てゐましたが...
近松秋江 「初雪」
...それよりもそれを炒ってくれた宿の人々の顔やまたそれに付きまとうた淡いロマンスなどもかなりにはっきりと思い出された...
寺田寅彦 「球根」
...新聞でも見ながら「ミット」や「オーネ」のコーヒーをちびちびなめながら淡い郷愁を瞞着(まんちゃく)するのが常習になってしまった...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...境内の淡い照明の光ですかして見ると...
豊島与志雄 「椿の花の赤」
...雲の如き上野谷中の森の上には淡い黄昏(たそがれ)の微光をば夢のように残していた...
永井荷風 「日和下駄」
...淡い不満をいだいてこの絵を見ているだけのもので...
中里介山 「大菩薩峠」
...透きとほらんばかりの淡い色をした・鮎に似た細長い魚や...
中島敦 「環礁」
...淡い夕陽は画室の欄間へほんの少しばかり忍び込んで...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...淡い探偵的な話はある...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...年始はもう濟んだ筈だぜ」平次は啣楊枝(くはえやうじ)で淡い陽の中から聲をかけます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...12.緑色のもののうち5例は淡い種類のブラウンシュヴァイク緑で染められていた...
アーサー・ヒル・ハッサル Arthur Hill Hassall, M.D. 水上茂樹訳 「食品とその混ぜ物処理」
...五日月の淡い月の光にすかしてみると...
久生十蘭 「奥の海」
...何色とも名前のつけようもないほどぼんやりした淡い流行色であった――それほど趣味が洗煉されていた訳である! リボンを結んだのや花束などが衣裳のあちこちに最も絵画的な無雑作さで取りつけてあったが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...タキノ家に対して淡い勝利を感ずるのであつた...
牧野信一 「鏡地獄」
...姿を見失ふほど淡い水色の羅衣(うすぎぬ)の一枚まとつてゐるだけの体は...
牧野信一 「タンタレスの春」
...淡い明色のばりばりしたこわい毛が...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...それ相当の復讐に似た淡い憂いもあるのだった...
横光利一 「旅愁」
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