...静に師匠の唇を沾(うるほ)してゐる姿は...
芥川龍之介 「枯野抄」
...大旗空しく飜つて哀涙袂を沾す...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...急(にはか)に吾が面を沾(ぬら)しつ...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...泣きました涙がお顏を沾(ぬ)らしました...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...覺えず法衣を沾(うるほ)し申しぬ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...いつの間にか船首をめぐらせる端艇小さくなりて人の顔も分き難くなれば甲板(かんぱん)に長居は船暈(ふなよい)の元と窮屈なる船室に這(は)い込み用意の葡萄酒一杯に喉を沾(うるお)して革鞄(かばん)枕に横になれば甲板にまたもや汽笛の音...
寺田寅彦 「東上記」
...木下はいつのまにか眼を沾ましていた...
豊島与志雄 「二つの途」
...疎らな松林を出たりはひつたりして幾つかの漁村を過ぎてしと/\ゝ沾れて行く...
長塚節 「佐渡が島」
...眼がしらさへも沾みさうであつた...
牧野信一 「風流旅行」
...僕の胸を不断に沾すフイス(光)とフエス(愛)の爽々しい羽ばたきを感ずるからなのだ...
牧野信一 「変装綺譚」
...長い睫毛か緑色の眼にうつとりと沾んで影を宿してゐた...
牧野信一 「籔のほとり」
...読者にとつてはおそらく満足に堪へられぬ泉の水に胸を沾ほされる悦びに違ひありません...
牧野信一 「浪曼的月評」
...道ゆく人々にわずかにそれを沾ってはいたのだった...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...床座を沾汚(てんお)す...
南方熊楠 「十二支考」
......
柳田国男 「故郷七十年」
...一石(いっこく)踏(ふ)みしから臼(うす)の米沾圃(せんぽ)などという句があるから...
柳田国男 「木綿以前の事」
...こんにやくの色の黒きも珍らしく沾蓬(せんほう)祭の末は殿の数槍(かずやり)曾良(そら)見るほどの子供にことしいもの痕(あと)芭蕉田舎(いなか)の祭だから...
柳田国男 「木綿以前の事」
...別を人の言ひ出せば泣く 里圃こたつの火いけて勝手を静まらせ 馬一石踏みしからうすの米 沾圃ふけて皆の者がさアもう寝ようとなって...
柳田国男 「雪国の春」
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