...その外觀が一應我等を欺くに足るだけの尤もらしさを具へてゐる場合に特に剴切に通用する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...なぜそんなに欺くやうに急に出て行つて了つたのだらうと...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...強くして愚なる主君を欺くに至る...
高木敏雄 「比較神話学」
...……今日の収穫・あるけばかつこういそげばかつこう・落葉松は晴れ切つてかつこう・若葉したたるながれで旅のふんどしを・お山へのぼる花をむしつてはたべ・岩に腰かけ樹にもたれ何をおもふや・いただきの木のてつぺんで鳥はうたふ・おべんたうをひらくどこから散つてくる花びら・雲かげもない木の芽のしづか・寝ころびたいスロープで寝ころぶ若草・落葉松落葉まどろめばふるさとの夢・落葉松落葉墓が二つ三つ懐古園三句・浅間は千曲はゆうべはそゞろ寒い風・ゆふ風さわがしくわたしも旅人・その石垣の草の青さも(牧水をおもふ)・浅間をむかうに深い水を汲みあげる・ぞんぶんに水のんで去る藤の花・風かをる信濃の国の水のよろしさ・虱がとりつくせない旅から旅・浅間へ脚を投げだして虱をとる・まんなかに池がある昼の蛙なく(岩村田遊廓)・浅間したしいあしたでゆふべで(此の二句父草居にて)・ゆつくりいくにち桑が芽ぶいて若葉した江畔老に・けさはおわかれの、あるだけのお酒をいたゞく・草萌ゆる道が分れる角で別れる・逢へば別れるよしきりのおしやべり・さえづりかはして知らない鳥が知らない木に・水はあふれるままにあふれてうららか○自戒一則――貪る勿れ、疑ふ勿れ、欺く勿れ、佞る勿れ、いつもおだやかにつゝましくあれ...
種田山頭火 「旅日記」
...しかし現在、或る極めて有力な、そして、もしそういうことが許されるならば、悪意のある、欺瞞者が、あらゆる点において、できる限り、私を欺くことに、骨を折っていると仮定する場合、どうであろうか...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...できる者は誰でも私を欺くが宜い...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...嗚呼誰れか其の自ら欺くの甚しきに驚かざるものあらむや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...河野のやうな自ら欺くことの出來ない男が自分に何等の信念もないのに...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...その活発さも彼女を欺くことはできなかったし...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...こいつらも世を欺く横着もの...
中里介山 「大菩薩峠」
...その白昼を欺く月光の下に...
中里介山 「大菩薩峠」
...己にさえ、己を欺く魔の、どこにか潜(ひそ)んでいるような気持は免かれぬものを、無二の友達とは云え、父方の縁続きとは云え、迂濶(うかつ)には天機を洩(も)らしがたい...
夏目漱石 「虞美人草」
...父(ちゝ)を欺くのは猶更不可能であつた...
夏目漱石 「それから」
...「愛のない結婚なんて、自身を辱(はずか)しめることだし、男を欺く罪悪だ...
長谷川時雨 「遠藤(岩野)清子」
...――少なくとも彼女の状態はそれを見たすべての人々を欺くくらい死によく似ていた...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...いわゆる英雄名を求め世を欺くの一実例を与えたに過ぎないのである...
穂積陳重 「法窓夜話」
...自ら欺く相だ...
宮沢賢治 「疑獄元兇」
...信じてくれ」「ふん……人を欺くにも程がある...
吉川英治 「江戸三国志」
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