...パパ」と言いながら柔和な顔をして貴女を見た...
有島武郎 「フランセスの顔」
...べとりと頤髯(あごひげ)一面なその柔和な口を結んで...
泉鏡花 「悪獣篇」
...芸術品の高貴な厳粛な柔和なすべての現れは...
高浜虚子 「俳句への道」
...柔和なしかしどうかすると鋭い光を放つその逞しそうな面を眺めていると...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...その方どもの手にかかる者ではない」小柄な男は柔和な顔に微笑を含んで...
田中貢太郎 「切支丹転び」
...眼の柔和な老人が見える...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...體まで小さく痩枯れて女と見まがふ柔和な方である...
近松秋江 「湖光島影」
...嬉しそうな色が父親の柔和な顔に漲る...
寺田寅彦 「やもり物語」
...柔和な眼でそして細長いけれど矢張り何處かに恐ろしいやうな所がある...
徳田秋聲 「媒介者」
...柔和なと云ふのともちがふ...
長與善郎 「青銅の基督」
...男一匹の活動しかしこの柔和なれと訓(おし)うるは独(ひと)り耶蘇教(やそきょう)に限ったことでない...
新渡戸稲造 「自警録」
...五十少し前といった、デップリした恰幅(かっぷく)で、柔和な眉、少し鋭い智恵の輝きを思わせる眼、二重顎(あご)、大町人らしい寛闊(かんかつ)なうちにも、何となく商機に敏(さと)い人柄を思わせるのが、地味な紬(つむぎ)を着て、ニコニコ遜(へりくだ)った微笑を湛(たた)えながら、そっと小屋の横から、施米の忙しさや、手摺の外の群衆などを満ち足りた様子で眺めているのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...彼は急にその柔和な牛に対して特に親愛の情を覚えた...
原民喜 「牛を調弄ふ男」
...霞むような柔和な声でいった...
久生十蘭 「だいこん」
...団十郎(くだいめ)張りの張りのある眼に柔和な光を湛え...
久生十蘭 「魔都」
...あんな柔和な、おとなしい人間が、どうして、あんなふうになるんだろう? ……私にはわからない...
三好十郎 「その人を知らず」
...そしてなお女が訝(いぶか)しげに眼をあげると、あの柔和な、明るい笑いかたでにこっと笑いながらいった、「……八重はあの八重だったのですね」...
山本周五郎 「日本婦道記」
...ほぼ納得されていたことと思う」青岳は初めて柔和な顔になった...
山本周五郎 「雪の上の霜」
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