...暗い緑の葉をたれた枇杷(びわ)があって...
芥川龍之介 「偸盗」
...すこしはなれてマブの花・地べたべつとりと浜朝顔の強い風・やけあと何やら咲いてゐる・わがまゝきまゝな旅の雨にはぬれてゆく・松のなか墓もありて・つかれた顔を汐風にならべて曲馬団の女らやたらにとりちらかしてお祭の雨となつた雨となつた枇杷の実の青い汐風・山しづかにしてあそぶをんなつたうてきては電線の雨しづくしては警察署の木の実のうれてくる五月十六日まだ降つてゐる...
種田山頭火 「行乞記」
...枇杷を食べる、私には初物だ、これは恐らく、昨夜の宴会の残物だらう、といつては持つてきてくれたT子さんにすまないけれど...
種田山頭火 「其中日記」
...呪はれた枇杷の木...
種田山頭火 「其中日記」
...水仙の芽かよあれこれ食べるものはあつて風の一日水音しんじつおちつきました茶の木も庵らしくひらいてはちり誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花落葉ふる奥ふかく御仏を観る雪空の最後の一つをもぐ其中雪ふる一人として火を焚くぬくい日の...
種田山頭火 「草木塔」
...枇杷を食べてゐた...
徳田秋聲 「草いきれ」
...過古に対する枇判が欠乏し...
豊島与志雄 「文学の曇天」
...カルピスなんかよりも、枇杷葉湯は、確に、薬効的であり、甘酒はずっと優れた栄養分を含んでいる...
直木三十五 「大阪を歩く」
...日頃の用心もそのかいなく鳥啼(な)き花落ちる頃に及んでかえって流行感冒にかかりつづいて雨の多かったためか新竹伸びて枇杷(びわ)熟する頃まで湯たんぽに腹あたためぬ日とてはなく食事の前後数うれば日に都合六回水薬粉薬取交(とりま)ぜて服用する煩(わずら)わしさ...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...枇杷の芽は梅よりも伸びるのが早く...
永井荷風 「枇杷の花」
...つまり先刻道庵先生がファッショイ共を相手に一代の武勇をふるった枇杷島橋の方面からです...
中里介山 「大菩薩峠」
...總體薄枇杷色(うすびわいろ)で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
......
前田普羅 「普羅句集」
...同じ部に枇杷(びわ)の木に夏の日永き田舎かな太虚(たいきょ)とある...
正岡子規 「病牀六尺」
...もし夏の日の永き田舎の無聊(ぶりょう)なる様を言はんとならば実のない枇杷の木でなくては趣が写らぬ...
正岡子規 「病牀六尺」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...茶の花の方がいくらか枇杷よりか優しくあでやかだ...
室生犀星 「冬の庭」
...その森を越えた二人は無言のまま、直ぐ鼻の先の小高い赤土山の上にコンモリと繁った深良屋敷の杉の樹と、梅と、枇杷(びわ)と、橙(だいだい)と梨の木立に囲まれている白い土蔵の裏手に来た...
夢野久作 「巡査辞職」
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