...上甲板の欄干に凭(よ)りて秋天一碧(しうてんいつぺき)のあなた、遠く日本海の西の波に沈まむとする落日を眺めつゝ、悵然(ちやうぜん)たる愁懐を蓬々(ほうほう)一陣の天風に吹かせ、飄々何所似(へうへうなんのにたるところ)、天地一沙鴎(てんちいちさおう)と杜甫が句を誦し且つ誦したる時、その船の機関長とか云ふ赭髯緑眼(しやぜんりよくがん)の男来つて、キヤン、ユウ、スペーク、エングリツシ?、我答へて曰く、然り、然れども悪英語(キングスエングリツシ)のみ、と...
石川啄木 「閑天地」
...「三 木曽山脈と相対して、高峻を競い、之を圧倒して、北の方越後海辺まで半天に跳躍犇放(ほんぽう)するものを飛騨山脈となす、(中略)中央大山脈は鋸歯状に聳えて、四壑のために鉄より堅牢なる箍(たが)を匝(め)ぐらしたるもの、曰く鍋冠山、曰く霞沢山、曰く焼嶽、或ものは緑の莢を破りて長く、或ものは、紫の穂に出て高きが中に、殊に焼嶽(中略)は、常春藤の繞纒(じょうてん)せる三角塔の如く、黄昏(たそがれ)は、はや寂滅を伴いて、見る影薄き中に屹立し、照り添う夕日に鮮やかに、その破断口の鋭角を成せるところを琥珀色に染め、(中略)初めは焼嶽を指して、乗鞍と誤認したるほどなりき、乗鞍に至りては、久しく離別の後に、会合したる山なり、今日大野川に見て、今ここに仰ぐ、帽を振りて久闊を叫びしが、峰飛びて谿蹙(せ)まる今も、山の峻峭依然として『余の往くところ巨人有り焉』(My giant goes wherever I go)と、そぞろ人意を強うせしめぬ、(下略)(拙著『鎗ヶ嶽紀行』)この一群中に卓絶せるを、鎗ヶ嶽となす、その矗々(ちくちく)として、鋭く尖れるところ、一穂の寒剣、晃々天を削る如く、千山万岳鉄桶を囲繞せる中に、一肩を高く抽(ぬ)き、頭(あたま)に危石あり、脚に迅湍あり、天柱屹(こつ)として揺がず、洵(まこと)に唐人の山水画、威武遠く富士に迫れども、大霊の鍾(あつ)まるところ、謙(へりくだ)りて之を凌がず、万山富士にはその徳を敬し、鎗ヶ嶽には其威を畏(おそ)る...
宇野浩二 「それからそれ」
...少女答へて曰はく...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...ここにその人に問ひて曰はく...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...『古事記』はその事情を記して曰く...
高木敏雄 「比較神話学」
...その時アレクサンドロス答へて彼に陳じ曰ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...「われを恐れて其船にチューデーデース逃れきと」かれ高らかに斯く曰はむ其時われに*地よ開け』 150150 死すること...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...チュルゴー曰く、「汝はその火急を咎(とが)む、然(しか)れども余が血筋は五十以前概して癆(ろう)を病んで死するを知らずや」と...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...彼れは社会改良の必要なる所以を説て曰く...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...語を換えて曰(い)えば...
新渡戸稲造 「教育の最大目的」
...何にか曰(いは)くのあることだらう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...曰く、経済国難! 曰く、思想国難! 曰く、建国以来未曽有の国難!急迫せる情勢に転倒せる帝国主義者の脳裏には、恐らく戦争とファシズム以外の考えは浮かび得ないであろう...
野呂栄太郎 「『日本資本主義発達史講座』趣意書」
...元以て河南の伏君に問う、伏君曰く、これ土気上升(じょうしょう)し、草木萌動(ぼうどう)す...
南方熊楠 「十二支考」
...『塩尻』四に〈『地鏡』に曰く...
南方熊楠 「十二支考」
...そして抽斎が「子曰(しのたまわく)...
森鴎外 「渋江抽斎」
...そうして初めてお作に会った時からの色々な曰(いわ)く因縁の数々を思い出しながら...
夢野久作 「斜坑」
...物納租税または十分一税と正確に同一なる生産物の一定の比例の租税について、セイ氏は曰く、『この課税方法は最も公平であるように思われる...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
...子曰く、吾子を以て異(他事)を問うならんと為(おも)いしが、曾(さあら)で由と求とのことをしも問えるか...
和辻哲郎 「孔子」
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