...街裏の布施ひそやかに秋暑かなこれは、街並として余り繁華でもない裏通りの、とある一戸で、行脚托鉢の者に、女房などがひそかにお布施してゐる、折柄残暑どきで、午後の日影がオレンヂ色に漲り、その光景をくつきりと浮み出してゐる...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...折柄の傾いた赤い日に宙に浮んだ此橋の影を...
石川啄木 「鳥影」
...折柄(おりから)渡来(とらい)したる日本人に対し...
石河幹明 「瘠我慢の説」
...御隠居様にも御目に掛けたいと存じたる折柄...
江見水蔭 「壁の眼の怪」
...折柄、参詣の人の足もとどまり、近所あたりの人もたかって来る...
中里介山 「大菩薩峠」
...折柄平次や八五郎に目をかけてくれる...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...拝啓残暑かえって厳しき折柄いよいよ御清健のことと拝察賀(よろこ)び奉(たてまつ)り候...
野呂栄太郎 「岩波茂雄宛書簡」
...何処(どこ)も此処(ここ)も至極(しごく)都合の好(よ)い折柄...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...折柄碇泊中のイギリスの軍艦に救われ...
穂積陳重 「法窓夜話」
...折柄間もなく新穀の出廻(でまわ)り期を控え...
本庄陸男 「石狩川」
...折柄この望楼の柵に拠つて見た樹の間がくれの星空も忘れがたい...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...折角(せっかく)の折柄を妨げられて...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ほとんど食事も進みかねておりましたのでございますが、その折柄、去る九日の午前出勤中に外務省の機密局長M男爵閣下宛、配達致して参りました封書中に、夫の筆跡に相違ない無記名のもの一通を見付けましたので、思わず胸を轟(とどろ)かせました...
夢野久作 「暗黒公使」
...折柄の満潮に身を投じたものらしく...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...折柄来合せた高井覺太郎君の招かるままに...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...峯から噴きあぐる煙は折柄の西日を背に負うて...
若山牧水 「樹木とその葉」
...折柄季節にも当っていたので...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...髪にも髭にも白いのがかなり混った割には極めて元気な矮躯赭顔の翁は折柄処用で外出しかけて居たにも係らず...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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