...お心淋しく存じて居られた折も折...
太宰治 「右大臣実朝」
...果して『朝日新聞』は折も折...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...坪井君が青江の刀を私の宅へ届けたのは、折も折、盂蘭盆の十三日の、しとしとと細雨の降る夕方だった...
豊島与志雄 「怪異に嫌わる」
...折も折、実業家ヴェーゼンドンクの若く美しい夫人マチルデが夫に請(こ)うてワグナーをその別荘に迎え、ワグナーの最も熱心なる崇拝者として、毎日訪ねてはその詩と音楽と哲学とに触れた...
野村胡堂 「楽聖物語」
...折も折端午の節に当つて古風に檐に菖蒲が葺かれてゐた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その時までは、たまに雪子のことを思い出しても、憎むべき裏切女として思い出すだけだったが、折も折、いざ、みな子と結婚しようとする時になって、これまで夢にも考えなかった考えが不意に、まるでだまし討(うち)のように浮かんできたのだ...
平林初之輔 「秘密」
...旧友どもを見返すことができると勇んでおった折も折...
藤野古白 藤井英男訳 「戦争」
...折も折、夜来の雨が今朝晴れて、あたりの風景は水々しいきらびやかさに満ち溢れ、さんらんたる陽(ひかり)は実(げ)にも豪華な翼を空一杯に伸べ拡げてうらうらとまどろんでいるが、それに引きかえ、不断(ただ)でさえ日の眼に当ることなしに不断にじめじめと陰険な渋面をつくって猜疑(さいぎ)の眼ばかりを据えているあの憎たらしい坂道は、どんなにか滑り易い面上に、意地悪な苦笑を湛(たた)えながら手ぐすね引いて気の毒な旅人を待ち構えていることだろう!――私は、この坂道と戦うための用意に自分のとゼーロンのと、一束にした草鞋(わらじ)と一歩一歩踏み昇る場合の足場を掘るためのスコップとを鞍の一端に結びつけて来たのであるが、今、それが私の眼の先で、ゼーロンの跛の脚どりにつれてぶらんぶらんと揺れているのを眺めると胸は鉛のようなもので一杯になってしまった...
牧野信一 「ゼーロン」
...その時どんなに見すぼらしく貧弱に私の目に見えたことでせう!折も折...
水野仙子 「犬の威嚴」
...時も時……折も折……忘れるともなく忘れて...
夢野久作 「笑う唖女」
...折も折、「毛利の大軍が、上月(こうづき)城を取りつつんだ」との飛報が、書写山へ入った...
吉川英治 「黒田如水」
...袁紹は、折も折とて、彼に計ろうと酒宴を設け、諸侯を呼んで、曹操を慰めると、曹操はむしろ憤然として、「口に大義を唱えても、心に一致する何ものもなければ、同志も同志ではない...
吉川英治 「三国志」
...二箇の逆賊の首が七日間さらされていた折も折...
吉川英治 「三国志」
...隆々たる勢いの折も折であったから...
吉川英治 「三国志」
...尊氏ごときとご同席では、折も折、せっかくな御宴もお愉しいものには相なりますまい」「くどい」「はッ」「行くと申すになにを阻(はば)む...
吉川英治 「私本太平記」
...この家で共に暮す日もない――と思っていた折も折なのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...折も折、その信澄は、信長の第三子神戸(かんべ)信孝や、丹羽(にわ)長秀などと共に、阿波、中国への出軍の装(よそお)い成って、今しも住吉の浦から兵船に乗ろうとしているところだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...折も折、客とみえて、玄関に控えていた仲間が、そこから告げた...
吉川英治 「山浦清麿」
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