...やせて悒鬱(ゆううつ)になった事から生じた別種の美――そう思って葉子がたよりにしていた美もそれはだんだん冴(さ)え増さって行く種類の美ではない事を気づかねばならなくなった...
有島武郎 「或る女」
...彼はほとんど悒鬱(ゆううつ)といってもいいような不愉快な気持ちに沈んで行った...
有島武郎 「親子」
...陰暦何日頃になるのか、その女性も、悒鬱で、陰惨な感じさえそく/\と身を襲ふところから、耐へがたく窓外の空にぽつかり麗はしい月でも浮び上るのを望んだことであらうと推測された...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...彼女の急性悒鬱症(きゅうせいゆううつしょう)については...
海野十三 「什器破壊業事件」
...悒(いぶせ)きに忍(あ)へじ二」と思ひて...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...つねに悒々(おふ/\)として楽しまなかつたといふ事である...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...田圃の中につゞいてゐる悒せき田舍家の間を縫うて俥に搖られながらゆくと...
近松秋江 「初雪」
...悒鬱(ゆううつ)な四月(うづき)空...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分の悒鬱な魂がこの上もなく惨めになつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...またいわく尾ある猴は月減ずる時甚だ欝悒(うつゆう)し新月を望んで喜び躍りこれを拝むと...
南方熊楠 「十二支考」
...輪廻(りんね)を想うて非常な悒鬱...
宮原晃一郎 「愛人と厭人」
...併し此の松林の中の家は依然として暗悒な姿をしてゐた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...わたしはこんな悒せき心持を風流とか云ふものでなく...
室生犀星 「故郷を辞す」
...おれはへんに悒々し出してしまってしまいにへんになるかも知れない...
室生犀星 「童子」
...――笏梧朗はなにか考え込んでいたがふと悒々(ゆうゆう)した目をあげた...
室生犀星 「後の日の童子」
...しめれる土の上に悒(いぶ)せきかげの時うつりゆくごとに西へ震へて過ぎる...
室生犀星 「忘春詩集」
...そして妻のことなどがかれをかれの永い間持ち腐らせている悒鬱(ゆううつ)にまで追い込んだのである...
室生犀星 「みずうみ」
...鬱悒(うついふ)の至りなり...
吉川英治 「平の将門」
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