...その間彼のあわれなる妻子は、飢えたる腹をかかへて、言い知れぬ悲嘆の泪に暮れるばかり、守護の天使とても、境涯の懸隔は、これを如何ともするに由(よし)なく、ただ空しく、遠方から淪落(りんらく)の痴漢の暗き行末を、あわれみの眼もて見送るより外に、せん術(すべ)がないのである...
W・S・モーゼス William Stainton Moses 浅野和三郎訳 「霊訓」
...これからは一人の主に身も心も献げ得る嬉しい境涯が自分を待っているのだ...
有島武郎 「クララの出家」
...思い思いに身の境涯をふりかえる様子であった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...起居さえ不自由な境涯にある...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...しかも人はしばしば必要物の欠乏からではなく贅沢品の欠乏から死ぬような境涯におちいっている...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...私のそれからの境涯に於いても...
太宰治 「男女同権」
...かれはこの荒廃したあたりのさまが自分のこの心の境涯にそつくりであることを思つた...
田山録弥 「船路」
...生命(いのち)の綱とも杖(つえ)とも柱とも頼んでいた弟に死なれてからは本当の母ひとり娘ひとりのたよりない境涯(きょうがい)であった...
近松秋江 「黒髪」
...ただ漠然と自由な一人っきりの境涯というくらいな意味のものだったらしい...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...国家や人生や境涯の何らかの事実に対して...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...私たちは仲間はづれにされ意味ありげな眼にとりまかれてみじめな境涯に堕ちてしまつた...
中勘助 「銀の匙」
...其境涯を左程悲しんでいないように見えたのが...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...全く孤独の境涯に移つた...
長塚節 「隣室の客」
...さても私の境涯の...
中原中也 「一つの境涯」
...いよいよ寂寥孤独の境涯に身を置いたことが肯ずかれる...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...あらゆる境涯・感情を表現するに足らぬのは当り前の話である...
柳田国男 「木綿以前の事」
...こういう境涯から振返ってみると...
山本周五郎 「橋の下」
...「羨(うらや)むべき境涯ではある」と...
吉川英治 「新書太閤記」
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