...振向くと、小屋の窓に一人の老人が寄りかかって、じっと私の方を見つめていた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...くるりと後を振り向くと...
大阪圭吉 「闖入者」
...」と呼ばれて、振り向くと、その金丸の娘さんが笑ひながら立つてゐる...
太宰治 「津軽」
...この春に京都から越前(えちぜん)まで廻って秋はまた信濃(しなの)の方へ出向くなどの計画もあった...
徳田秋声 「足迹」
...益満が(南玉に似た声――)と、感じた時、駕の後方に、走って来る足音がして「益満さんでは?」益満が、駕の中から、振向くと、南玉が「矢張りそうだ」と、いうと、すぐ、後方へ「若旦那」と、叫んだ...
直木三十五 「南国太平記」
...足の向くまま彩牋堂の門前に来て見ると檜(ひのき)の自然木を打込んだ門の柱には□□寓(ぐう)とした表札まだそのままに新しく節板(ふしいた)の合せ目に胡麻竹(ごまだけ)打ち並べた潜門(くぐりもん)の戸は妾宅(しょうたく)の常とていつものように外から内の見えぬようにぴったり閉められてあった...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...自然疑ひは玄龍の方へ向くと思つたのだが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...下なる奴に物いひつけんと振向く途端...
樋口一葉 「大つごもり」
...決して私の方を見向くことなしに編物をつゞけてゐた...
牧野信一 「心象風景」
...早く行きましょう」と不図(ふと)後方(うしろ)を振向くと...
水野葉舟 「テレパシー」
...薄黄色い歯を出して外っ方を向く...
横光利一 「夜の靴」
...あたしこそ――」千鶴子が一寸彼を見て俯向く風情に小声で云うのを...
横光利一 「旅愁」
...涙をかくすためにうつ向くと...
吉川英治 「上杉謙信」
...あいさつに出向くくらいなことは...
吉川英治 「新書太閤記」
...「なにや」「なんじゃと」振り向く...
吉川英治 「親鸞」
...そのどっちへも向くつもりはない...
吉川英治 「随筆 新平家」
...ところが、まだその四人のうちには、薄傷(うすで)の程度で、多少呼息(いき)のある者があったとみえ、牡丹色の武者羽織が、ハッと振向くと、そこの死骸から、人魂のように、血まみれな一箇が、「まだッ、まだッ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...……それというのも元をただせば、一向くだらん、たかが他人の馬鹿馬鹿しい気まぐれからじゃないか...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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