...暗(やみ)に仄かに匂うてゐる...
石川啄木 「鳥影」
...袖にも匂う……たまさかに吸ってふッと吹くのが...
泉鏡花 「遺稿」
...爆音高く朝日匂う大空にまいあがり...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...その拍子に女の体にしみた香水の香(かおり)が省三の魂をこそぐるように匂うた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...少しは紫(むらさき)がかった空気の匂う迷路(メーズ)の中に引き入れられるかも知れないくらいの感じが暗(あん)に働らいてこれまで後を跟(つ)けて来た敬太郎には...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...匂うような頬、滴るような唇、精練され切った、銀鈴のような声、この女の全身は、卯の毛で突いたほどの瑕(きず)も無い、千乗の璧(たま)の如く清らかに、美しかったのです...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...温室の闇に匂う美女の頬十二時になると...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...匂うばかりの若い女...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...浮気らしいところの匂うのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ほの匂う眉、これは、此(この)節流行(はや)る筆で描いた曲線ではありません...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...匂うばかりの新月の眉を顰めながら軽く舌打ちをしている...
久生十蘭 「魔都」
...長い垂れ髪は匂うばかりの若々しさで...
久生十蘭 「無月物語」
...今夜は陸風が匂うのが早すぎた...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...あるいは実際かすかに匂うせいか...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...高く匂う花であったのは本懐であると思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...藤の花の匂う弘徽殿(こきでん)ノ渡殿(わたどの)にこの黒髪もさやかであろうと思うにつけ...
吉川英治 「私本太平記」
...なかでも格調匂うばかりなのは...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...地金(じがね)が匂う...
吉川英治 「野槌の百」
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