...それはまた彼女のやつれた姿にちょうど朝日に輝いている薄(うす)ら氷(ひ)に近いものを与えていた...
芥川龍之介 「古千屋」
...この女も定まった路を歩いて来たのだ――旅鞄(たびかばん)を膝に載せて、やつれた、悲しげな、しかし艶(なまめ)かしい、居睡(ゐねむり)を初める隣の女...
石川啄木 「心の姿の研究」
...恰度やつれた母の顔の様ぢやないか...
石川啄木 「漂泊」
...すこしやつれた様子だったが...
海野十三 「赤耀館事件の真相」
...やつれた姿で立っていたではありませんか...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...いいふらしています」正造のやつれた顔は...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...それから例のやつれた眼が再び見上げた...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...T君の山男のような蓬髪(ほうはつ)としわくちゃによごれやつれた開襟(かいきん)シャツの勇ましいいで立ちを...
寺田寅彦 「小浅間」
...着流(きなが)し散髪(ざんぱつ)の男がいかにも思ひやつれた風(ふう)で足許(あしもと)危(あやふ)く歩(あゆ)み出る...
永井荷風 「すみだ川」
...お雪ちゃんはやつれた面に乱れた髪を少しかき上げて...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかしすこし曇ってやつれた顔よ...
西村陽吉 「夕がたの人々」
......
野口雨情 「極楽とんぼ」
...わずかの間にいたましくやつれた主人の顔を見ながら...
浜尾四郎 「正義」
...「大分やつれたぢやないか……」「えゝ...
林芙美子 「浮雲」
...貧にやつれたれば七つも年の多く見えて...
樋口一葉 「にごりえ」
...やつれた顔じゅうにただ二つの眼と蒼黒い大きな口だけしかないようなツメオは息子の上に屈んで...
宮本百合子 「一太と母」
...やつれた面をあげ...
室生犀星 「後の日の童子」
...お初のことやら病気やらで思いやつれた孤独の身が今では種を唯ひとりの頼りに生き永らえているようなものである...
矢田津世子 「神楽坂」
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