...弁天様の池畔などで、ぐつたり寝そべつて甲羅を干してゐるのは、あれは、いしがめとでもいふのであらうか、絵本には時々、浦島さんが、あの石亀の背に乗つて小手をかざし、はるか竜宮を眺めてゐる絵があるやうだが、あんな亀は、海へ這入つたとたんに鹹水にむせて頓死するだらう...
太宰治 「お伽草紙」
...わたしなんか袴(はかま)穿(は)いて行(い)たことあれしませなんだ...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...これ種にしてどんな事でも出来んことあれしません...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...そこには又葢もあれば底もありでね...
徳田秋聲 「媒介者」
...あれな」「あれって...
徳永直 「白い道」
...今宵あれらの水びたしの荷足(にたり)はすべて昇天しなければならぬ...
富永太郎 「橋の上の自画像」
...泥酔(でいすい)から起こるいろんな悲しい出来事をあれこれと想像してやまなかったのである...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...また考えたこともあれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...あれと全く同じことである...
中谷宇吉郎 「雨を降らす話」
...あれは北斎漫画でも見ているようにものあやしい...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...あぶれどもたちの大騒ぎ! あれを...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ある時は恐ろしい嵐(あらし)があれて...
水野仙子 「冬を迎へようとして」
...あれは、先のことはともかく、お話しのとおりしておきましょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あれをあたえたろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「おうまやの渡しから向うは大丈夫だ」そう云っている男があったので、幸太はその男をつかまえて訊(き)いた、「たしかだとも」と、軽子(かるこ)らしいその男はいきごんだ調子で云った、「おれは駒形(こまがた)の者だ、おふくろが神田にいるんでゆくところだが、焼けているのはお厩(うまや)の渡しからこっちで、あれから向うは、煙も立っちゃあいない、逃げるんならあっちだ」幸太はそっちへ戻ろうと思った、然し道いっぱい怒濤(どとう)のように押して来る人の群を見ると、そのなかをゆくことがいかに不可能であるかすぐにわかった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...あれだけの芝居を打つなんか...
夢野久作 「暗黒公使」
...大抵あれ位の力は持ておられますので……ただ……人間は...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...――あ、あれは、鍛冶小屋の音だね...
吉川英治 「山浦清麿」
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